2025年、日本将棋連盟にとって歴史的な転機が訪れました。第18代会長に就任したのは、女流棋士・清水市代さん。女性として初、そして棋士以外からの初の会長就任という快挙は、将棋界に新たな風を吹き込んでいます。
子供時代:おてんば少女が将棋に出会うまで
1969年、東京都東村山市に生まれた清水さんは、一人っ子として好奇心旺盛な少女時代を過ごしました。外で遊ぶのが大好きで、3歳の七五三では着物を脱ぎ捨ててジャングルジムに駆け出したという逸話も。転機は小学5年生、鉄棒から落ちて右腕を骨折したことでした。外遊びができなくなった彼女は、父が開いていた将棋教室で駒を手にし、将棋の世界にのめり込んでいきます。
女流棋士としての道のりと功績
1985年、16歳で女流棋士としてプロ入り。以降、**女流タイトル通算43期(歴代2位)**という圧倒的な実績を積み重ね、クイーン名人・王位・王将・倉敷藤花の四冠を達成。1990年代には林葉直子さん、中井広恵さんとともに「女流三強」と称され、女流将棋界の黄金期を築きました。
また、2004年には中井さんとの「百番指し」を実現。2011年度には年間40勝という女流公式戦最多勝記録も樹立しています。
会長就任までの歩み:継承と挑戦
2017年に日本将棋連盟の常務理事に就任し、女流棋士として初の理事職を歴任。2025年6月、羽生善治前会長の後任として第18代会長に選出されました。就任にあたり掲げたテーマは「継承と挑戦」。伝統を守りながらも、次世代に向けた改革を進める姿勢が、多くの支持を集めています。
🌸 清水市代さんの歩み ― 年表でたどる将棋人生
年 | 出来事 |
---|---|
1969年 | 東京都東村山市に誕生 |
1985年 | 女流棋士としてプロ入り(16歳) |
1990年代 | 女流三強として活躍、複数タイトルを獲得 |
2004年 | 中井広恵さんとの「百番指し」実現 |
2011年 | 女流公式戦年間最多勝(40勝)記録 |
2017年 | 日本将棋連盟常務理事に就任 |
2025年 | 第18代 日本将棋連盟会長に就任 |
女性会員の推移と制度改革
近年、女流棋士の数は増加傾向にあります。2014年以降は年間約3人のペースで増加し、2025年には100名を超える女流棋士が活躍中。清水会長の就任と同時に、「クイーン白玲」獲得者にフリークラス編入資格を与える制度も導入され、女性棋士誕生への道が現実味を帯びてきました。
実力と人間力:盤上だけでない魅力
清水さんの強さは、盤上の読みだけではありません。対局中の所作、礼儀、そして後進へのまなざしにも表れています。茶道や読書を愛し、父の始めた将棋教室を引き継いで**「ショウギ・キッズ・ハウス」**を主宰。子どもたちに将棋の楽しさを伝える活動にも力を注いでいます。
次世代へのバトン:若手女流棋士の台頭
🌟 注目の若手女流棋士たち ― 次世代を担う新星たち
🔹 西山朋佳(にしやま ともか)
- 女流三冠(白玲、女王、女流王座)を歴任。
- 持ち前の鋭い攻めと冷静な終盤力で、「現代女流将棋の象徴」と称される。
🔹 福間香奈(ふくま かな)
- 女流五冠を獲得した実力派。
- 2014年に“クイーン五冠”を達成し、女流棋士の枠を超えた存在感を放つ。
🔹 加藤桃子(かとう ももこ)
- 持ち前の明るさと感性豊かな将棋でファン急増。
- 解説でも人気を博し、将棋の魅力を広く伝える伝道師的存在。
清水さんの背中を見て育った若手たちも、今や将棋界の主役に。西山朋佳さんや福間香奈さんといった実力派が次々とタイトルを獲得し、女流棋界はかつてない盛り上がりを見せています。清水会長のもと、彼女たちがどのように羽ばたいていくのか、今後の展開が楽しみです。
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