香川県三豊市の静かな町に、ひとりの少年が生まれた。
その名は桃田賢斗。名前の由来は、なんと「スーパーマン」の主人公クラーク・ケントから。「世界で一番強い人になってほしい」――そんな願いが込められていた。
🌱 小さなラケットと大きな夢
幼い頃、姉の影響でバドミントンに触れた賢斗少年。
地元の吉津小学校に通いながら、ソフトボールでも活躍していたが、次第にラケットを握る時間が増えていった。
父はバドミントン未経験ながら、駐車場にコートのラインを引き、部屋にゴム紐を張って練習環境を整えた。家族の支えが、彼の才能を静かに育んでいく。
小学校6年生のとき、全国小学生選手権でシングルス優勝。
その瞬間、香川の少年は全国に名を轟かせた。
🚄 福島への旅立ちと、震災の記憶
中学進学とともに、賢斗は福島県の強豪校・富岡第一中学校へ。
寮生活を送りながら、全国大会で優勝を重ね、史上初の中学生で全日本総合選手権予選に出場するなど、異例の快進撃を続けた。
しかし、2011年――東日本大震災が彼の生活を一変させる。
遠征先で震災を知り、帰れなくなった故郷。原発事故の影響で学校は閉鎖され、練習環境も失われた。
「想像を絶するほどぐちゃぐちゃになっていて、すごくショックだった」
それでも彼は諦めなかった。翌年、世界ジュニア選手権で日本人初の優勝を果たす。
🏆 栄光と挫折、そして再起
高校卒業後、NTT東日本に入社。
世界ランキングは急上昇し、2018年には男子シングルス世界1位に。2019年には国際大会11勝でギネス記録にも認定された。
だが、順風満帆とはいかなかった。
違法賭博による出場停止、交通事故による大怪我、コロナ感染――幾度も試練が訪れた。
それでも彼は立ち上がる。復帰戦で涙の優勝を果たし、再び世界の舞台へ。
🧑🏫 引退と、香川への帰還
2024年、桃田賢斗は日本代表を引退。
「勝ちたい」より「上手くなりたい」――その言葉に、彼の競技観がにじむ。
現在はNTT東日本で選手兼コーチとして若手育成に尽力。
YouTube「桃CHANNEL」で技術指導や日常を発信しながら、香川県でのイベントやバドミントン教室にも積極的に参加している。
2025年8月には三豊市総合体育館で高校生とのエキシビションマッチを予定していたが、腰椎の手術のため解説者として登場。
それでも彼は語る。
「香川に戻って、子どもたちとふれあうイベントに参加していきたい」
編集後記
香川県出身の桃田賢斗さんが世界の舞台で活躍する姿は、県民の誇りそのものです。彼の努力と粘り強さは、若い世代へ大きな勇気を与えてくれます。地域イベントでの指導など、地元への愛も深く感じます。これからも香川から羽ばたくその姿を、心から応援し続けたいです。
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